夏休み自由研究お助け隊

夏休み自由研究お助け隊2022実行委員長からのご挨拶

夏休み自由研究お助け隊2022参加者の皆さんへ

もう半世紀前になりますが、私が小学生の頃、学研から「科学」と「学習」という雑誌が発刊されていました。学校公認の補助教材のような位置づけだったからなのか、当時は先生を通じて販売されていたように記憶しています。毎月、学校に届けられるのですが、多くの子供たちが楽しみにしていたのは、雑誌本体よりも、付録でついてくる様々な実験セットの方でした。私自身、電磁石、顕微鏡、水栽培、岩石標本など、子供向けの簡易なものではありましたが、実際に試して遊んだ体験が懐かしく思い出されます。

「科学」と「学習」はその後の販売不振により2010年から休刊となっていたそうですが、折しもこの夏に「学研の科学」として復刊するとの知らせを目にしました。創刊号の付録は手回し発電により水から水素を作って飛ばすロケットだそうです。今や、大概の事はインターネット検索で簡単に答えを得ることができますが、実際に試してみると検索結果の答えの様には上手くいかない事の方が多いでしょう。未知への探究心はそのような失敗や試行錯誤の体験を通じて育まれるのだと思います。

ところで中学生の皆さんは、大学と聞いてどんな場所を連想するでしょうか。もちろん、大学には学研の付録とは比べ物にならないような実験設備が整えられていて、世界最先端の研究が行われています。しかし、我々研究者を突き動かす探究心は、学研の付録で遊んだころと変わらない様な気がします。あえて違いを言えば、探究の規模が大きく複雑になったことで、自分一人では実験設備などを管理運用できず、多くの専門知識を持った技術職員に支えてもらっていることでしょう。そして今年も、彼ら技術職員が大学の設備を使った様々なワークショップを企画してくれました。

皆さんにとって、大学という場所はまだ敷居が高く感じるかもしれませんが、ワークショップでの体験は大人になったときの良い思い出となると確信しています。ぜひ、この機会を楽しんでください。

夏休み自由研究お助け隊2022実行委員長
筑波大学 システム情報系教授・技術室長 渡辺俊